出生前検査をいつ受けましたか?
結婚後なかなか子供を授かれず、不妊治療をしてやっと2人の子供を出産したアラフォーママです。妊娠12週の時に検査をし、当時の年齢は39歳でした。
どんな悩みや不安がありましたか?
不妊治療は精神的なストレスが多く、継続するためにはあまり感情的にならないことが秘訣だ、と自分に言い聞かせていたせいか、いつの間にか“妊娠=愛の結晶”というより“妊娠=医療の力”という気持ちになっていました。そのため第一子の妊娠が確定した時に高齢出産である私は、何も迷わず新型出生前診断(NIPT)を受ける予約をとりました。
しばらくして、やっとつかんだ幸せな妊娠生活を満喫していく中で、検査を受けることを同居の義母に打ち明けると、「命の選別」という理由で反対されました。検査に同意していた夫には「このまま幸せな妊娠生活のままであってほしいのが本音」とも言われ、そうなるとだんだん私自身も「高額な検査費用を代わりに幼児教育などに費やす方が、実りあることではないだろうか…。それにたぶん自分は大丈夫だ」と根拠のない自信を持ち、検査予約を直前にキャンセルしました。ところが生まれた子はなんと、ダウン症児だったのです。
出産後は精神的に壮絶な日々を送り、周りに助けられながら何とか子育てをしてこられました。第二子を授かった時は「もう二度とあの苦しみを繰り返したくない」という気持ちと「NIPTを受けることは、親なのに第一子の存在を否定することではないのか」という気持ちがあり、少し考えましたが、これまでの障害児育児の日々を思い出すと検査をせずにはいられませんでした。検査を受けることは賛否両論があるので、第二子の検査のことは夫と実母以外には誰にも言いませんでした。
検査をした医療機関と、選んだ理由を教えてください。
検査は岐阜大学付属病院です。
不妊治療をしていたクリニックから最寄りだからなのか、選択肢はありませんでしたが、自分で選ぶにしてもそこが一番近いので同じところを選んだと思います。不妊治療をしていたクリニックが紹介状を書き、予約を取ってくれました。
NIPT検査の種類や料金について
受けたのは「新型出生前診断(NIPT)」です。
内容は、採血した血液検査で結果が分かるというもの。料金は合計211,916円でした(3回受診の合計)。
メリットは採血のみなので身体的負担がないことです。デメリットは料金が高いこと、3回は受診しないといけないこと、住んでいる地域によっては検査できる病院まで遠出しないといけないことです。
NIPT検査の流れを教えて下さい。
- 受診1回目:エコー検査(3D)で赤ちゃんの様子を確認します。
- 受診2回目:夫婦でカウンセリングを受けます。検査について詳しく説明があり、納得して最終確認をした後、採血をします。
- 受診3回目:約2週間後の予約を取り、検査結果を聞きに行きます。
NIPT検査の結果と振り返り。
2回目の受診(カウンセリング)を受ける前に「あなたのやろうとしていることは命の選別です。上のお子さんが可愛くないのですか?」等と諭されたらどうしよう…と不安と緊張でいっぱいでしたが、カウンセリングの先生から「私達はこの検査を受けることに賛成も反対もしません」と前置きをしてくださったので、とてもホッとしたことを覚えています。
やはり後ろめたい気持ちがあったのですが、この検査を受けることは誰からもジャッジされるべきことではないのだ、と気持ちが楽になりました。
検査は採血だけなので、あっけないほど簡単ですが、検査結果を待つ2週間後の受診日が来るのがとても長く感じました。
結果は陰性でした。しかしこの検査で分かる障害は限られています。自閉症や発達障害などは分かりません。そのため陰性でも「自分の子は健常者だ!」と100%安心はできないのです。確定診断ではないものの、陽性だったら中絶すると心に決めていたので、私がしたことは命の選別だと思います。しかし障害児を育てることは、きれい事で済まされない大変さがあります。
今では私は第一子を愛し、尊い存在だと受け入れておりますが、これまでの苦難の道のりをまた味わうことは避けたかったのです。たまに友人から「検査受けたの?」と聞かれることがあります。障害児ママから聞かれる分には気になりませんが、健常児ママから同じ質問をされると「上の子は生きる価値がない」と言われているような気持ちになり、イラッとします。検査を受けておいて自分でも全く矛盾しているなぁと思いますが、そのくらい扱うのが難しいデリケートな話題だと思います。