NIPTについて

クアトロテスト(クアトロ検査)とNIPT(新型出生前診断)の違いとは

クアトロテストとは

クアトロテストは、母親の血液成分から赤ちゃんが先天性疾患を持っているかどうか調べる検査のことで、母体血清マーカー検査ともよばれます。

母親の血液中の4つの成分値(AFP、hCG、uE3、Inhibin A)を測定し、母親自身の情報(年齢、体重、妊娠週数、家族歴、糖尿病の有無)と合わせて、先天性疾患を持つ確率を算出します。

クアトロテストで調べられる先天性疾患はダウン症候群、18トリソミー、開放性神経管奇形の3つです。

クアトロテストの結果は「1/100」などと表現され、それぞれの疾患に対して陽性となる確率が決められています。ダウン症候群は1/295、18トリソミーは1/100、開放性神経管奇形は1/145となり、これらよりも高い場合は陽性と判定されます。

たとえば「ダウン症候群 1/150で陽性」と判定された場合、「同じ“ダウン症候群 1/150”の結果を得た妊婦さんが150人いたとすると、その中の1人がダウン症候群の赤ちゃんを妊娠している可能性がある」という解釈になります。

NIPTとの違い

出生前診断には、非確定検査と確定検査があり、クアトロテスト・NIPTともに非確定検査に分類されます。ただ同じ非確定検査といっても、いくつか大きな違いあります。ここでは、その違いについて詳しくご紹介しますので、選ぶ際の参考にしてみてください。

1. 検査対象となる疾患

クアトロテストでは、ダウン症候群、18トリソミー、開放性神経管奇形の3つを検査できます。

ダウン症とは、21番目の染色体が3本あることにより起こる疾患で、別名21トリソミーともいいます。知的発達障害や運動能力の発達に違いがみられます。また、各内臓に合併症を抱えるリスクも高く、成長後も定期的な治療や手術が必要になります。

18トリソミーとは、18番目の染色体が3本あることにより起こる疾患で、心臓奇形や重度の知的発達障害がみられます。

開放性神経管奇形とは、神経管が正常に形成されないことによる二分脊椎(脊椎が正常に形成されない)や無脳症(脳が正常に形成されない)を引き起こします。

一方NIPTでは、ダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーの3つを検査できます。

13トリソミーとは、13番目の染色体が3本あることにより起こる疾患で、脳や心臓、顔面などの異常、重度の知的発達障害などがみられます。13トリソミーの赤ちゃんは症状が重いため、生後1か月前に約80%が亡くなり、1年以上生存する確率は10%未満です。また高齢出産になればなるほど、リスクが高まるといわれています。

検査対象となる疾患
クアトロテスト ダウン症候群 18トリソミー 開放性神経管奇形
NIPT ダウン症候群 18トリソミー 13トリソミー

2. 検査の精度

クアトロテストの検査精度は、ダウン症候群の検出率87%、18トリソミーの検出率77%、開放性神経管奇形の検出率83%とされています。(LabCorp Japanより)

また、19,112例のうちダウン症候群の可能性が高いと結果が出た割合は約9%、そのうち実際にダウン症候群であったのは約2%という結果が出ています。このことからもわかるとおり、クアトロテストはあくまでスクリーニング検査で、検査精度はあまり高くないといえるでしょう。

一方、NIPTの検査精度は99%といわれ、非確定検査ではありますが、クアトロテストにくらべて確実な結果を知ることができます。

検査の精度
クアトロテスト ダウン症候群:87% 18トリソミー:77% 開放性神経管奇形:83%
NIPT 99%

3. 確率の算出方法

クアトロテストもNIPTも母親の血液を採取し、その成分を調べるという点では同じですが、クアトロテストでは母親の情報が加味されるという点が大きな違いです。

つまりクアトロテストでは、母親の年齢が高くなればなるほど、確率が高く算出されるということになります。

たしかに赤ちゃんが先天性疾患を持つリスクは、母親の年齢が高ければ高いほどあがります。しかし、NIPTでは検査精度に母親の年齢が影響することはありません

確率の算出方法
クアトロテスト 母親の血液成分および母親の情報
(年齢、体重、妊娠週数、家族歴、糖尿病の有無)
NIPT 母親の血液成分のみ

4. 検査費用

クアトロテストは2~3万円ほどですが、NIPTは約20万円とかなり高額です。

ただクアトロテストはNIPTにくらべて検査精度が低いため、結局確定検査として羊水検査や絨毛検査を受けなければならない、ということがあります。羊水検査や絨毛検査は痛みや流産のリスクがあるうえ、合計すると費用もNIPTとあまり変わらない金額がかかります。

検査費用
クアトロテスト 2~3万円
ただし確定検査を受ける場合は+15~20万円
NIPT 約20万円

5. 対象となる母親の条件

クアトロテストでは、母親の年齢制限はなく、検査を希望するすべての妊婦さんが対象となります。しかし、NIPTは認可施設での検査を希望する場合、以下の条件にくわえ、病院が独自で設定している条件をクリアした方のみが検査を受けられます。

条件は以下の3つです。

  1. 妊娠10週以降
  2. 以下のいずれかに当てはまる妊婦さん
    • 染色体異常症(21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーのどれか)がある子どもを妊娠または出産した経験がある場合
    • 高齢出産(35歳以上)になる場合
    • その他胎児が染色体異常(21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーのどれか)になる可能性がある場合
  3. 夫婦またはカップルからの検査を受けたい意思がはっきりとあり、遺伝カウンセリングを受けて検査について十分に理解し同意を得られた場合

とくに年齢制限がネックでNIPTを受けられないという方が多く、検査を受けたいと希望するすべての妊婦さんができるわけではないというのが、NIPTの現実です。

対象となる母親の条件
クアトロテスト 特になし
NIPT 認可施設においては多数の条件あり(年齢制限含む)

年齢制限のないNIPTって?

そこでご紹介したいのが、年齢制限のないNIPTです。

さきほどNIPTを認可施設で受けたいと希望する場合、と書きましたが、認可施設のほかに認可外施設とよばれる病院でもNIPTを受けることができます。認可外施設では、対象妊婦さんに厳しい条件を課しているところはほとんどなく、希望する方の多くに検査を提供しています。

認可施設と認可外施設の違いは、日本医学会連合はNIPTを実施してもよいと認可しているかどうか、にあります。ただ認可されていないからといって、いい加減な検査をしているというわけではありません。認可外だからこそできることも多く、年齢制限がないこと以外にも、多くの検査項目があったり、性別判定やその他の先天性疾患の罹患確率も調べたりできることがメリットです。

ただ認可外施設のなかには、陽性判定後のカウンセリングや確定検査である羊水検査は行わないというところも多く、認可施設に比べてサポート体制が充実していないことも。

そこでおすすめなのが、認可外施設でも認可施設とおなじように、カウンセリングや羊水検査ができる充実したサポート体制がある施設です。

認可外施設であれば、1人目のお子様が持病や障害を抱えている、家庭の事情で先天性疾患を持つ子どもは育てられない等、35歳未満だけどNIPTをどうしても受けたい、という妊婦さんでも検査ができます。

認可施設での検査を考えていたけれど、条件が厳しくて受けられないとあきらめていた方は、ぜひサポート体制が充実している認可外施設を検討してみてはいかがでしょうか?

年齢制限がなくサポートが充実したNIPT検査施設

年齢制限がなく、かつ認可施設とおなじようなサポートが充実した施設としておすすめなのが、以下の施設です。

どの施設も遺伝カウンセリングや羊水検査の実施もしくは費用の補助など、手厚いフォローが特徴です。

【関東エリア】
八重洲セムクリニック(JR 東京駅八重洲中央口、東京メトロ 京橋駅)
デイジークリニック(各線 渋谷駅)
元麻布クリニック(東京メトロ 麻布十番駅)

【関西エリア】
奥野病院(JR 天王寺駅/寺田町駅、近鉄南大阪線 河堀口駅)
・表参道メディカルクリニック 大阪院(JR 福島駅)
・ヒロクリニック(JR 大阪駅、阪急 梅田駅)